NAW / GOVERNANCE 07
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米DC巡回区控訴裁、国防総省のAnthropic排除を支持 — サプライチェーンリスク指定は適法、2対1の判断
米コロンビア特別区巡回区控訴裁は2026年9月25日、国防総省が連邦調達サプライチェーン安全保障法に基づきAnthropicのClaudeを排除した措置を適法とする判決を下した。Katsas判事の法廷意見にRao判事が同調し、Henderson判事が反対意見を付けた。
米コロンビア特別区巡回区控訴裁は2026年9月25日、国防総省がAnthropicのAIモデル「Claude」を同省のサプライチェーンから排除した措置を適法とする判決を下した(Anthropic PBC v. United States Department of War、No. 26-1049、26-1162と併合)。Katsas判事が法廷意見を執筆しRao判事が同調、Henderson判事が反対意見を付けた2対1の判断で、Anthropicの審査請願はいずれも棄却された。以下は公開された判決文(slip opinion)の内容の整理であり、法的助言ではない。
排除に至った経緯 — 「すべての合法的利用」条項をめぐる対立
- 判決文によると、Anthropicは2025年3月に政府機関向けの特別モデル「Claude Gov」を公開し、兵器設計の効率化や外国諜報の分析、攻撃的サイバー作戦など一部の利用を許容する一方、「致死的自律型戦争」と「米国人の大規模監視」の2つの利用禁止は維持した。
- 2025年秋以降、国防総省との直接契約交渉で同省はClaudeの「すべての合法的利用(all lawful uses)」への契約上の許諾を求めたが、Anthropicは上記2点を「重要な例外」として譲らず交渉は停滞した。
- 2026年1月9日、Hegseth長官は国防総省のAI戦略を示し、調達契約に標準的な「any lawful use」文言を組み込むよう指示。同年2月24日のAmodei CEOとの会談で2月27日までの受諾を要求し、2月26日にAnthropicが拒否を公表、翌27日に大統領と長官がSNSで同社を非難した。
- 2026年3月3日、長官は連邦調達サプライチェーン安全保障法(FASCSA、41 U.S.C. § 4713)に基づく正式な決定を行い、CIOが3月6日に180日以内のClaude除去と請負業者による使用禁止を命じる省内メモを発出。Anthropicは3月9日に審査を請願し、4月8日に停止申立ては却下されつつ迅速審理となり、6月3日に再考請求も却下された。
- 判決文はまた、係争中にAnthropic幹部が海外の機微な軍事作戦へのClaude利用の適否に疑問を呈し、省側に警戒と疑念を生じさせた一件や、CDCからの感染症研究関連の照会にClaudeが回答を拒否した事例を、省の判断を支える記録として挙げている。
法廷の判断 — 「manipulate」の解釈と憲法上の主張の棄却
- 多数意見は、FASCSAが定める「サプライチェーンリスク」(41 U.S.C. § 4713(k)(6))の文言上、AnthropicがClaudeの設計・運用を「操作(manipulate)」して致死的自律戦争や大規模国内監視という「機能」を「拒否(deny)」するのは疑いの余地がなく、動機の悪性は要件ではないと解釈した。「Anthropicが何をするかが問題であり、なぜそうするかが問題なのではない」という枠組みである。
- 多数意見はさらに、事前テストで新モデルの挙動を検証できるというAnthropicの反論について、モデルの不透明性や文言次第で応答が変わり得ること、旧モデルに留まれば能力向上から取り残されることを理由に退けた。
- 憲法上の主張も棄却された。デュープロセス請求は、省が速やかに通知し異議申立ての機会を与えたとして退けられ、修正1条請求は、排除の理由がAI規制論の支持ではなく省が不可欠とみなす契約条件への不同意にあるとして因果関係を認めなかった。
- Henderson判事の反対意見は、「sabotage(破壊工作)」「maliciously(悪意をもって)」といった前置の文言が悪意・欺瞞的意図を示すとして、残余句「or otherwise manipulate」も同様に限定解釈すべきだと主張。同法が外国政府に隷属する企業など悪意ある主体の侵入に対処するために制定された経緯を挙げ、誠実かつ公然たる利用制限の実施まで「リスク」に含める多数意見に反対した。
判決の射程 — 国防総省の調達からの排除が確定する内容
- 結論として法廷は「請願を棄却する(we deny the petitions for review)」と述べ、国防総省のシステムからのClaude除去と、同省向け業務での請負業者によるAnthropic製品の使用禁止を認めた。
- 多数意見は、本件が「想像を絶するほど強力な新技術の適切な軍事利用」という深刻な問題を提起し、制約の強いモデルが作戦を失敗させる懸念と、制約のないモデルが誤った標的を幻覚する懸念の双方を認めた上で、その衡量は大統領と長官が行うべきであり、長官は法令上・憲法上の権限を逸脱していないと結論付けた。
- なお、判決文自体にAnthropic側の判決後の対応方針(上訴の検討など)の記載はなく、本記事では判決後の同社の発表については扱わない。判決文に言及のない並行訴訟の詳細にも踏み込まない。