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GOVERNANCE / POLICY & SAFETY

EU、著作権ルール見直しの意見募集でAI学習データをめぐる対立が鮮明に — 432件の意見書に溝と妥協の芽

欧州委員会は2019年著作権指令の見直しに向けた意見募集(call for evidence)を実施し、寄せられた432件の意見書の初期分析で、AI学習のためのテキスト・データマイニング(TDM)の扱いをめぐり技術企業と権利者の主張が真っ向から対立していることが浮き彫りになった。一方、robots.txtを標準のオプトアウト手段とする案や、AI生成物の商業利用に出力側の新しい権利を設ける案など、妥協の芽も指摘されている。

生成AIの学習データをどう扱うかは、欧州の著作権政策の最大の争点になりつつある。欧州委員会は2019年著作権指令(デジタル単一市場指令)の見直しに向けた意見募集(call for evidence)を実施しており、ドイツのheise onlineは2026年8月17日、寄せられた432件の意見書の初期分析で、技術企業と権利者の間の溝が鮮明になったと報じた。一方で、双方に配慮した妥協案も複数見られるという。

何が議論されているか — 2019年指令の見直しとAI学習

  • 欧州委員会は2026年5月18日、著作権枠組みの近代化に向けた意見募集を開始(受付は6月25日まで)。2019年指令の実務上の影響・有効性と、対象を絞った新たな立法イニシアチブの可能性を検討する
  • 意見募集の対象には、生成AIをめぐる権利のライセンスと執行の課題、音楽のEU域内利用に対する実演家・制作者の報酬、研究目的の著作物利用などが含まれる
  • 議論の中心は、データを自動解析する**テキスト・データマイニング(TDM)**の例外規定。研究目的は広く認められる一方、営利利用については著作権者が機械可読な形式で拒否(オプトアウト)できる第4条の仕組みがある
  • 数年前に通常のデータ解析向けに作られたこの折衷案が、生成AIの学習という用途では法的な火種になっている

権利者側:事前同意型のオプトインへ転換を要求

  • クリエイティブ産業は、生成AIの学習は当初想定したTDMの範囲を根本的に超えると主張
  • ドイツ出版取引所連合会(Börsenverein)は、AI開発者がライセンス取得を体系的に回避し、海賊版を最も価値ある学習データとして使っていると批判。AI生成の書籍が高品質な人間の作品を装って市場にあふれる「不公平な競争」も問題視する
  • 著作権イニシアチブ(Initiative Urheberrecht)は、現行のTDM例外とAI Actの透明性規則では権利者のコントロールと公正な報酬が確保できないと指摘。監視が困難なオプトアウト方式をやめ、事前同意を得るオプトイン方式への転換と、声・スタイルのAI模倣に対する保護を求める

AI企業・産業側:ライセンス義務化に反対

  • Anthropicは意見書で、AIモデルは一般的なパターンを学習しており、データベースのようにテキストを保存しているわけではないと説明。「機械が学習を手伝うという理由だけで、既存作品からの著作権フリーな事実・パターンの学習が違法になったり報酬対象になったりすべきではない」と主張する
  • 強制ライセンスは大企業だけが恩恵を受け、小規模プレーヤーを阻害するとの見方も示す
  • ドイツIT業界団体Bitkomや自動車業界団体VDAなども、新たな障壁が米国・中国に対する欧州の競争力を損なうと警告している

妥協の芽と今後の焦点

  • Wikimedia Deutschlandは、研究向けの無条件TDM例外を強化し、robots.txtをTDMオプトアウトの技術標準として位置づける案を提案。オープンデータセットを明確に学術目的と位置づけ、著作権管理団体を通じた報酬と組み合わせることも提案する
  • 音楽業界のGEMAは、入力(学習)側ではなく出力側に注目。訓練データはすでに世界中で処理済みであり入力側のライセンスは回避され得るとして、第三者によるAI生成コンテンツの商業利用に対する新たな利用権と、AI生成音楽の集団ライセンスによる公正な報酬を主張する
  • 欧州委員会は意見募集の結果を踏まえ、対象を絞った立法イニシアチブの要否を検討する。業界・権利者双方の主張は今後も更新される可能性がある

注記: 432件の意見書の初期分析と各ステークホルダーの見解要約は、heise online(2026-08-17)の報道による。意見書の内容は個別に一次情報(欧州委員会の意見募集ページ)で確認できる。

出典: 欧州委員会プレスリリース(Commission seeks views on the review of EU copyright rules、2026-05-18)、欧州委員会「Have Your Say」— Targeted initiative for a better copyright environment for European creativity and innovation。いずれも2026-08-18確認。

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